初の対面での講義に参加した。
ブロックチェーン技術に期待が集まる理由
1-1 国内外の動向
国内仮想通貨取引所の新たな取り組み
→bitFlyerは暗号資産とTポイントとの交換
→DeCurrent(後発)はSuica、nanacoとの交換
暗号資産関連の法改正
→電子記録移転権利を定める
大企業の取り組み
→伊藤忠が天然ゴムの追跡システム
→中部電力がP2P電力取引のトラッキング
→日本海運における医薬品網
→Toyotaの新サービス実装実験
国内市場規模(矢野経済研究所)
→2018は8,070(100万円)
→2022は123,590(100万円)
※暗号資産(法的に)と仮想通貨は同じ。
1-2 投資の動向と市場規模
FB Libra発表
→アカウントが多いため、FB上でお金が動くと各国の税金等が難しくなる
中央銀行デジタル通貨(CBDC)本格化
→日欧英中銀が実験開始
民間レベル
→電力
→P2Pの電力取引、再生可能エネルギーの利用による投資家へのメッセージ
→サプライチェーン
→IBMを中心に効率化、透明性担保
→金融での実用化
→決済プロセス・称号の自動化、ST(証券トークン)の組成
※ 2019年は資金流入は大きく減少
→2018は1148件、46.5億ドル
社会変革の可能性(5年前のH27年度資料)
01 価値の流通(地域通貨)
→1兆円→そこまで盛り上がってない
02 権利証明行為の非中央集権化
→1兆円→相性はいいが動きが遅い
03 高効率シェアリング(デジタルコンテンツ)
→13兆円
04 サプライチェーン
→32兆円→盛り上がってる
05 プロセス自動化
→20兆円→電力、金融(STO)で盛り上がってる (edited)
ブロックチェーンの仕組み
2-1 ブロックチェーンの3つの型
パブリック/コンソーシアム/プライベート
→左の2つが盛り上がっている
→プライベートであれば、単純なDBで良い。
とはいえ、今後左に発展するので最初のプライベートということはある。
2-2 Bitcoinの中核技術
電子署名/P2P/PoW
→現金に比べて多重支払い(Double Spending)の課題がある。
※電子署名・公開鍵
ビジネス講座(目線)では、「秘密鍵」が重要。秘密鍵の保管の仕方が難しい。取引所はハッキングされやすい、PCにもおけるが、ハードウェアウォレットなどより安全なものもある。一般の人に意識せずに持ってもらうかがビジネスをやっていくのには重要。ハードウェアウォレットは盛り上がってない。
※ハッシュ関数
不可逆なので総当たりでの計算でないと元のデータが見つからない。
※P2P
データ消失/データ改竄のリスクが低い
※PoW
コンセンサスアルゴリズム(合意の仕方)の一つ。
企業が使う場合(コンソーシアム、プライベート)はこれを使うことはない。
コンセンサスアルゴリズムの選択はビジネスにおいて非常に重要。
※カストディ
社会を変える3つのキーワード
3-1 非中央集権
中央集権
メリ:迅速、明確
デメ:信頼が必要、依存
非中央集権
メリ:信頼が不要、個人意思優先されガチ
デメ:遅い、不明確
3-2 トラストレス
トラストレス=第三者を信頼しなくてよい
GAFA等のWinner takes allの状態が変わる可能性あり
→中間者がなくなる(人の手が介さない)ことが多い。
→OSSでやることが多い。
3-3 価値の取引
中央集権下では、銀行等を通さなければならなかった。
それが通さなくてもできるようになった。
ブロックチェーンの3つの活用系統
4-1 貨幣、アプリケーション、データストア
貨幣(通貨):Bitcoinなど
→仮想通貨取引所、ウォレットサービス、ハードウェアウォレットの販売
→海外送金もあったが意外とうまくいってない・・・
→Rippleは結局銀行のバックエンドに切り替えた
→パブリック
アプリ(スマートコントラクト):Ethereumなど
→ブロックチェーンゲーム(猫を育てるゲーム)
→コンソーシアム
データストア(共有データベース、プロセスの共有):Hyperledger fabric(IBM)など
→コンソーシアムで結構使われる。サプライチェーンなど。
→コンソーシアム
※プライベートは非中央集権としてのメリットがないので、ブロックチェーンを実装することにあまり意味がない。
ブロックチェーンの応用分野と将来像
5-1 業界のプレイヤーたち
○仮想通貨系
マイニング機器製造
→Bitmainは2017に4000億円の利益。
→GMOは機器の購入に高値つかみをしてしまったこともあり、機器製造から撤退。
マイニング企業
ICO実施者
→ICOはニーズがなくなってきた。
仮想通貨取引所
→Binanceは2017年四半期利益で200億円
開発会社(ウォレット、取引ツール)
→ウォレットはLedgerとTrezorが独占
→2017の営業利益は2900万ドル
→最近は取引所に置いている(保管を大企業に任せるというのはあり)
○その他系
金融
政府
分散台帳
国際送金
証券決済
非金融
サプライチェーン
行政
電力
不動産
※業界の大手が集まって取り組んでいるのでスタートアップが入りにくい。
○コンサル
→データ分析やコンサルティングは増えてきている。
→ニッチな部分から始められるのでスタートアップには取り組みやすい。
エンジニアとその業界のコンサルタントがいればOK。
○メディア
Bitcoin.com
Coindesk
Cointelegraph
CryptoNews
→競合が多い。
※分野ごとの参入しやすさ
仮想通貨交換業はライセンスを撮るのは難しい。
※DeCurret
→赤字拡大
5-2 乗り越えるべき5つの課題
地域通貨
→思ったより盛り上がっていない。DBで十分かも。
電子カルテ
→機微な個人情報があるのでそれをブロックチェーンに載せて秘密を保持するのが難しい。
デジタルコンテンツシェアリング
→盛り上がっている。
チケットサービス
→親和性が高いが、DBで十分かも?業界全体でコンソーシアムを組むことが重要なので進みが遅い。
サプライチェーン
→非常に盛り上がっている
IoT
→熱い分野。ディスクや高性能CPUをデバイスに組み込めるかが重要。
※5つの課題
パブリックブロックチェーンの課題
・取引手数料(EthereumGAS)
逆に手数料が高すぎてビジネスがおかしくなることもある。
・ユーザビリティ
・責任の所在
パブリックブロックチェーンの場合、手数料が低いため送金できないこともある。
※Ethereumは新しいコンセンサスアルゴリズムに移行して、処理トランザクション数が多くなる。
※EOSのような取引手数料を負担しないネットワークも開発。
仕様上の課題
ビジネスの要求仕様をどのブロックチェーンで見たすことができるかを考える必要あり。
設計上の課題
「トラストレス」ではないというビジネス設計をしてしまうと、ブロックチェーンを利用しなくてもよい。信用する部分が残ったとしても誰が管理するかをきちんと設計するべき。
実装上の課題
処理速度が遅い、検索が難しい、プライバシーを保ちづらい
※結局、通常のDBも使っている。
運用上の課題
秘密鍵の管理やアップデートの際の意思決定や問題が発生した時の責任を考える必要あり。
5-3 将来像と未来予想
・機関投資家が入ってくるでしょう。
・カストディ業者が入ってくるでしょう。
・過去のISPと同じで大手3社に統合されるでしょう。
・SIerとしては案件は増えていきそう。
・DEXやプロトコル(KYCなど)をめぐる争いが非常に大きくなる。
・アプリケーションは普及していくでしょう。
・スケーラビリティ問題が解決されると、その後の分野が急に大きくなるでしょう。
※情報の鮮度が重要。Twitter、メディアを利用する必要あり。
まとめ
・コンサルティング
・メディア
・システム開発
は、やれそうかな。
何らかの問題を解決するために、ブロックチェーンを利用するのは難しそう。
というより、どこに問題があるかを発見するのかがより重要かなと思う。