ブロックチェーンの分岐
分岐
「ブロックの同時生成」と「仕様変更」によって起きる。
ソフトフォーク
仕様変更で、ルールを厳しくすることにより起きる一時的な分岐。
※BitcoinのSegwit導入時も発生していたが、次第に普及していく。
ハードフォーク
互換性のない仕様変更で発生する永続的な分岐。それぞれがブロックチェーンとして利用されていく。
- 単純なアップデート
- コインの分裂
- AltCoin生成
※BitcoinとBitcoinCashの分岐
スケーラビリティ問題の解決アプローチで意見が割れたことが原因。Bitcoinはオフチェーン(ブロックサイズ上限を引き上げずに、Segwitやライトニングネットワークを用いること)で対応しようとしており、BitcoinCashはオンチェーン(より大きなブロックチェーン)で対応しようとしている。このハードフォークが実行されるまでには2年を要した。パブリックチェーンの場合は、開発の意思決定機関がないので、話し合いによって決まる。このようなブロックチェーンの改善方法を「ガバナンス」と呼び、問題点の一つとなっている。
AltCoin
AltCoin
Bitcoin以外の仮想通貨
Namecoin
世界初のAltCoin at 2011/4/18。
DNSの機能を追加。
Bitcoin2.0(通貨以外の機能を実現することが主な目的であるもの)に分類。
Litecoin
誕生 at 2011/10/7。
決済の速度改善するなど、決済通貨としての利便性向上が主な目的。
2017/5にSegwitを導入。
Monacoin
初の国産Altcoin at 2014/1/1。
Litecoinベース。
SNS上で投げ銭などに使われている。
BitcoinCash
Bitcoinのハードフォーク at 2017/8/1
ブロックサイズの上限を8MBに拡大。
フルノードになるには高性能なPCでないとなれない。
2018/11にさらにハードフォークされた。
BitcoinGold
Bitcoinのハードフォーク at 2017/10/24。
ASIC(マイニングマシン)耐性を強化するためにPoWのアルゴリズムをSHA256からEquihashへ変更。
※CurrencyType/AssetType
通貨としての目的がCurrencyType。
発行主体が存在し、株式と似たような性質を持つのがAssetType。
プラットフォームと仮想通貨
プラットフォーム
ブロックチェーンはプラットフォームとしても機能する。
Bitcoinは、仮想通貨というアプリケーションがブロックチェーンというプラットフォーム上に載っていると考えられる。
シンプル・高セキュリティ | 多機能・高汎用性 | |
オープン | Bitcoin | Etheruem |
クローズ | Ripple, Corda | HyperledgerFabric |
Token
価値ある何かを抽象化したもの。ポイントようなもの。
ブロックチェーン上で生成された仮想通貨のようなもののことをTokenと呼ぶ傾向がある。
Ethereum
2013考案。
スマートコントラクトによってDappsを動かすことが可能で、チューリング完全性(どのようなプログラムであっても実装できる性質)を備えている。
Bitcoinと根本的に異なる。例えば、EthereumにはUTXOがなく、Balanceがある。Stateを持つことができ、EVM(Ethereum Virtual Machine)上で実行可能。Solidityという言語で開発が可能。Ethereumはプラットフォームのことで、仮想通貨は「Ether」。このEtherはプラットフォームを動かすために「Gas」に変換される。
ハードフォークの予定も決められていて、
- Forntier:2015年7月
- Homestead:2016年3月
- Metropolis:2019年1月ごろ
- Serenity:未定
Serenity時にコンセンサスアルゴリズムをPoSに移行して、スケーラブルでセキュアなプラットフォームを目指している。
Ripple
2012年にリリースされたDLTを利用した国際送金システムのプラットフォーム。XRPと呼ばれる仮想通貨で、RippleLabs社がほとんどを保有している。
Corda
融資、決済など銀行業務を包括的にカバーする基盤システムの提供を目指している。
Hyperledger
LinuxFoundationが主導しているHyperledger。フレームワークとしてはIBMが提供したHyperledgerFabricや日本のHyperledgerIrohaが用いられている。
Token Economy
Token Economy
トークン(価値ある何か)を介して形成される経済圏。
人間の想像力と技術力が及ぶ限り、ありとあらゆるものがトークン化可能。
※日本国内では資金決済法上、不特定多数の人が商品やサービスの購入費用として使えるトークンを発行・流通させるには「仮想通貨交換業」として金融庁の審査を受けて業者登録をしなければならない。現在広く流通している仮想通貨やトークンと交換できる場合は業者登録が必要。
LINE Token Economy
「LINK Chain」というブロックチェーン上でDappsを開発可能。
シンクロライフ
レストランのレビューによって報酬や店舗での支払に活用できるSynchroCoinを発行。
トークン転換件付き株式の発行による第三者割当増資を実施。
地域トークン
地方創生、地方活性化のために独自トークンを発行。
https://bittimes.net/news/4002.html
トークンの分類
FINMA(スイス金融市場監査局)が2018年2月にICOガイドラインをベースに分類可能。
- Payment Token:決済手段が目的
- Unitlity Token:特定のアプリやサービスの利用目的
- Security Token:証券発行目的
※ICO(Initial Coin Offer)とは、トークンを販売することで行われる資金調達方法。
トークンエコノミーの可能性
中央集権の最たる株式会社は、ゴールが株主の利益を最大化することであるため、関係者全員の幸せが達成されづらかった。
トークンエコノミーは、コミュニティ価値の最大化であるので、ユーザ、開発者、投資家はフラットなネットワークで、関係者全員の幸せが達成される可能性が高い。このように関係者が自律的にコミュニケーション価値の最大化を目指すような組織はDAOと呼ぶ。
※インターネットの歴史
Web1.0は静的コンテンツばかりの遅いインターネット上のものだった。
Web2.0はSNSなど動画や画像、音声など双方向でのコミュニケーションが可能になったように、高速なインターネット上のものだった。GAFAの時代と言っても良い。
Web3.0はGAFAに集中してしまった情報をどのように保護していくかを考える時代となっている。GDPRもこの問題への対策の一つでしょうブロックチェーンはWeb2.0によって進んだ中央集権化とは対照的なもので、Web3.0と呼ばれる。キーワードは、「暗号化」「トークン」。暗号化によって、データ流出や不正利用は減るし、トークンによってインセンティブをもらってネットワークに参加する。
ICO
ICOとは
InitialCoinOfferingの略で、アイデアを形にするためにトークンを新規で発行し、投資家に割り当てることで資金を調達すること。クラウドセール、プレセール、トークンセールと呼ばれる。
ICO仕組み
「ホワイトペーパー」と呼ぶ、事業計画書を作成し、独自トークンを発行する。トークンの購入はBitcoinやEthereumで行う。
2017年は8,000億円もの資金が集められたが、2018年中盤以降はICO規制が入り、4-6月には8,800億集まったのに対して、7-9月は1,800億円程度となった。
トークン発行プラットフォーム
ICOやトークンの発酵を行うプラットフォームとしてはEthereumが主流となっている。ERC20という統一規格が整備されていて、この規格によって発行されているトークンは互換性があり、トレード可能となっている。
ERC20トークン
Ethereum Request for Comments:Token Standard#20の略。Ethereumで発行されるトークンの標準規格。コントラクトコード、ウォレットのの開発に時間がかかってしまう。
ICOの隆盛と衰退
ICOは2018年中盤までは盛り上がりを見せたが、多くのICOトークンの価格が暴落して一般投資家が被害に遭うケースが散見されたこともあり、世界的には規制する動きとなっている。トークンが証券に該当するかという点が論点となっている。該当する場合は、各国の証券法の下で規制されるため、規制当局への申請と認可が必要になる。
アメリカのICO規制
アメリカではICOトークンは証券として規制対象となっている。2016年に発生した「The DAO 事件」のレポートとそれに対する声明を2017年7月に公表して、DAOトークンが証券であったとしている。
※HoweyTestの要件
- 金銭を支払投資を行なっていたか
- 共同事業に対する投資であるか
- 投資家らの収益が期待されるか
- その利益は第三者の努力によって発生するものであるか
その他の国のICO
中国:2017年9月以降、国内のICOは禁止
韓国:2017年9月規制当局としてはICOを禁止
イギリス:規制当局からICOに関するリスク勧告が出ている
ロシア:ICO規制は草案段階
マルタ共和国:ICOは合法化されている
シンガポール:規制当局がICOガイドラインを公表。
※2018年の内容なのでだいぶ変わっているはず。マルタ共和国が気になったので最近の記事を以下に共有。
ICOからSTOへ
ICO規制を受けて資金調達は以下の3パターンとなっている
- ICOが合法化されている国に拠点を移す
- 伝統的な証券と同様に証券法で定められた基準に従って規制当局へ届出を行う
- 一定のルールのもとで規制当局への届出が免除される範囲内で行う。
3はSTOとも呼ばれ、調達限度額や販売できる投資家の制限などが設けられている。STOをスムーズに進めるためには「Harbor」「Polymath」と言ったプレイヤーが登場してきている。
※Harbor
※Polymath